WE MISSED YOU!! ブログがダウンして6週間以上、ようやくここに戻ってこられました。記事が書けなかった間にも、シェアしたい素晴らしい作品が沢山リリースされていたので、この数日は、それらを紹介していきたいと思います!

まずは、メキシカングリル/ブリトーのチェーンであるChipolteによる“The Scarecrow(カカシ)”、ショートアニメ、そしてiOSスマートフォンゲームとなっています。もう本当に素晴らしく、忘れがたい作品となっています。悲しい気分にさせられますが、希望を感じさせてくれるものでもあります。Youtubeだけでもすでに700万回視聴された“The Scarecrow”ですが、Chipolteによる“Food with Integrity (高品質な食品)”の広告キャンペーンの一環としてリリースされたもので、 食品生産のネガティブな面にスポットライトを向ける一方で、ホルモン、構成物質、遺伝子組み換えに頼らない、地元の生産物を支持する内容となっています。この動画では、抗生物質の多用や、過酷な環境下に置かれた家畜など、食品が加工されるまでの過程が取り上げられています。2012年のカンヌでグランプリを受賞した“Back to the Start”を憶えている人も多いかと思います。

物語は、架空の大手食品加工会社“Crow Foods”によって全ての食品がコントロールされているという、陰鬱なファンタジーワールドの中で展開されます。以前は農作物を守っていたカカシは、今や食品システムを独占しようとするカラスのもとで働く使用人でしかありません。Crow Foodsで働くカカシは、そこで思いもよらぬ光景を見てしまいます!”100%ビーフっぽい“食品が工場から出てくると、子供たちのランチや、スーパーマーケットの商品として、人の手に渡っていってしまうのです。“ナチュラル”であるはずのチキンは、緑色の液体を注射されて、まるで風船のようにパンパンに膨らまされ、可愛そうな牛は恐ろしいくらい小さな木箱に詰め込まれ、すっかり震え上がってしまっています。まるで悪夢のような工場式農場の現実を見てしまったカカシですが、より良いものを望む彼は、彼なりに継続維持できるような農業を後押ししようと決心します。

登場するキャラクターや、アニメーションのクオリティにはきっと驚かされるでしょう!Moonbot Studioによって制作されたこちらアニメーションは、まるでPixarとTim Bartonが混ざったような印象を受けます!またFiona Appleがカバーした、初のWilly Wonka映画の主題歌 “Pure Imagination”が鳥肌立つくらいにメランコリックで良いのです。

一目見て、子供たちとシェアせずにはいられませんでした。何度も一緒に見ながら、”継続可能な農業“を語るこの動画について、一生懸命子供たちに説明しようとしました。けれどもあの震える牛のシーンと言ったら…WOW! 子供は、牛が育つ環境や、私達が食べる為に最終的にそれらは殺されてしまうのだということを普段考えることはありません。彼らにとっては焼肉は単に焼肉なのです!

当然のことながら、“The Scarecrow”によって、このテーマを巡って正反対の立場を取る双方が参戦する議論が巻き起こることになりました。一方が継続維持可能な農業というものを表舞台に引っ張り出してきた点を評価すれば、もう一方はChipolteに対する批判を強め、こき下ろすと言う具合です。Chipolteのウェブサイトによると、彼らが使用する乳製品は合成物質を与えられた牛のものではなく、豚肉も野外または”ふさふさの干草の上”で育てられた豚のもののみ使用、また食品を出来るだけ地元のものでまかなうようにしているとのこと。こちらが、Funny Or Dieによる、皮肉を込めたパロディビデオ!

歌詞の訳はこちら:
私たちについて来て。巨大企業によって作られた広告が、純粋なイマジネーションの世界を見せてくれる。まずは、高予算のアニメーション。そこにあるのは改ざんでしかない。これは広告の一種に過ぎない。心を開いて使ってみて。その悲しげな顔を見て、感じて。もし泣きたいのなら、ここが最適(悲しげな顔の牛のシーン)。この純粋なイマジネーションの世界では、好きなことが言えてしまう。ただ、あなたの友人であるふりをすれば良い。これこそ私達があなたに信じてもらいたいもの。これは広告に過ぎない。心を開いて使ってみて。私達は巧妙にメッセージをコントロールする。真実を隠し、まるで何も関係がないように。ただ私たちのブランドに引き込まれればいい。Twitterでフォローすることもお忘れなく。あなたの頭の中…ゲームをダウンロードして…ブランドにエンゲージして…これが私たちの名前“

Chipolteは実際に巨大企業なのかもしれません!なんと言っても1500も支店を持つのですから。彼らは、感情的なレスポンスを期待していたのであり、実際、私の家庭でも期待通りの反応がでました。iTunesでFiona Appleの歌うPure Imaginationをダウンロードまでしたのですから!この曲を聴くたびにあの可愛そうな牛の瞳を思い出してしまいます!

けれども動画だけではありません!ゲームもあるのです!!iPhone、iPadそしてiPod Touch用のアドベンチャーゲームで、カカシが新鮮な食材をCity of Plenty(豊かな町)の人たちに届ける為に4つのレベルをクリアしていくのに同行するという内容になっています。

Venture Beat の記事によると、Chipolte Scarecrowは、モバイル用アドバーゲームの未来を見せてくれるというのです。
詳細はこちらでhttp://venturebeat.com/2013/09/30/chipotle-scarecrow-is-the-future-of-advergaming-on-mobile/#JtWVRqku4KoIsP2F.99
動画は2週間もしないうちに650万ビューを達成し、ゲームの方もアメリカのiOS アプリストアで無料アプリとして15位につけることになりました。マーケティングの世界では、バイラルフィルムは珍しいものではありません。けれども、飛びぬけた人気を獲得するようなモバイルゲームはこれまでにないものでした。リリースから4日で、ゲームは25万回ダウンロードされ、ランキングは徐々に下がっているものの、6ヶ月以内には100万人のアメリカユーザーを獲得すると考えられます。

100万インストールは、おそらく1000万人に届くであろう視聴者を抱える動画と比べるとたいしたことないように思えますが、モバイルゲームは、一般的に45%の確立で90日間保持され、それが使用される頻度も1週間につき3.5回ということになっています。他の広告のフォームでこれ以上高いエンゲージメント率が見られるものは他にないと思います。ウェブベースのアドバーゲームと違い、Chipolte ScarecrowのアイコンはAppストアや、ダウンロードした電子機器上に存在し続けるため、Chipolteというブランドに常に触れている状態になるのです。

このChipolte Scarecrowの成功の要因は2つあります。まずは、ゲームのプロダクションバリューがとても高かったことです。キャラクターも背景も非常によくモデリングされ、構想もプレーヤーをエンゲージさせるのに十分なクオリティとなっていると同時に、種類も豊富なので何度もプレイすることが出来ます。次に、このゲームが無料である点。ゲーム自体が広告だとしても、お金のプレッシャーのない、ハイクオリティなゲームが出来るのはワクワクさせられるものです。そのようなわけで、アドバーゲームは、他のモバイルゲームと比べて独特の強みをもっていると言えます。

これからはアドバーゲームをもっともっと見ることになりそうですね!

Moonbot Studiosの他の作品はここから: http://moonbotstudios.com